藤竜也の若い頃の色気と狂気!日活から愛のコリーダまで伝説を追う
藤 竜也 若い 頃のスクリーンに漂う濃密な退廃美と狂気は、半世紀を経た今もなお観る者の神経をざらつかせる。ただの端正な美形ではない。浅黒い肌に野性味を帯びた眼光、紫煙の向こう側から立ちのぼる、抜き身のナイフのような危険なアロマ。整った顔立ちの若手俳優が消費されては消えていく現代において、彼が放っていた剥き出しの男性性は、明らかに異質の光を放っていた。
八十代を迎えてなお渋みを増す名優だが、シネフィルたちがSNS上で熱烈に発掘・拡散する藤 竜也 若い 頃のポートレイトや劇中カットは、既存の「昭和の二枚目」という生ぬるい枠組みをやすやすと粉砕する。かつて日本の銀幕を揺るがしたアウトローの原型。その原点を辿ると、時代の熱気と個人の強烈な美学が火花を散らした、生々しい軌跡が浮かび上がってくる。
色気溢れるイケメンすぎると話題!日活アクションから『愛のコリーダ』に見る伝説の原点
ソーシャルメディアを中心に「あまりにも色気がありすぎる」「今のアジア映画界を探しても、この湿度を持った男はいない」と若い世代の映画ファンが騒然としている。彼らが目撃しているのは、単なるノスタルジーではない。画面越しに肌へ突き刺さるような、純度の高い官能とアナーキズムだ。
1960年代初頭に名門・日活に入社した藤竜也は、当初こそ爽やかな好青年役を割り振られていたものの、自らの内に眠る野性を隠しきれなかった。甘いマスクの奥にある獰猛さ。それが完全に開花したのが、1970年の映画『野良猫ロック セックス・ハンター』をはじめとする一連のアクション群であり、のちの世界配給作『愛のコリーダ』だった。暴力を纏い、情欲に溺れ、それでもどこか超越的な気品を漂わせる佇まいは、当時の若者カルチャーを熱狂させ、今再びデジタルネイティブの心を捉えて離さない。
「日活アクション」の異端児へ――スーツと髭が決定づけた唯一無二のアウトロー像
石原裕次郎や小林旭といった太陽のような大スターが君臨した日活アクションの黄金期において、藤の立ち位置はきわめて独特だった。彼は光ではなく、常に都市の深い影を背負っていた。
特筆すべきは、トレードマークとなった無精髭と洗練されたスーツの着こなしだ。当時の映画界において、若手俳優が髭を生やして銀幕に立つこと自体がタブー視されていた時代。藤はその不文律を平然と破り、自らスタイリングの細部にまでこだわり抜いた。タイトなシルエットのジャケットに身を包み、気だるげに路地裏を歩く姿は、まるでフランスのヌーヴェルヴァーグやアメリカのフィルム・ノワールから抜け出してきたかのような無国籍感を醸し出していた。
泥臭い任侠映画とも、勧善懲悪のヒーロー劇とも違う。生き急ぐ不良少年の焦燥を、彼は誰よりも残酷に、そして優美に体現してみせたのである。
大島渚が抉り出した人間の極限――『愛のコリーダ』が世界に与えた衝撃
1976年、日本映画界にとどまらず世界中に激震が走った。大島渚監督がメガホンをとった日仏合作映画『愛のコリーダ』である。阿部定事件を題材に、男女の極限の性愛を描いた本作は、あまりの過激さゆえに国内外で芸術か猥褻かを巡る熾烈な裁判闘争へと発展した。
主演の吉蔵役を引き受けた藤の覚悟は、並大抵のものではなかった。多くの俳優が生涯のキャリアを失うことを恐れてオファーを固辞する中、藤は大島渚の提示したビジョンに共鳴し、文字通り身も心も投げ出した。狂気すれすれの情念に身を委ね、破滅へと転落していく男の肉体美と虚無感。カンヌ国際映画祭をはじめ世界のアートシネマ界は、この日本の俳優が放つ圧倒的なエロティシズムと精神の気高さに息を呑んだ。
「役者として死んでもいい」という覚悟が生んだ表現は、スキャンダルの嵐を乗り越え、いまや映画史に聳え立つ金字塔として評価を不動のものにしている。
銀幕の美女・芦川いづみとの電撃婚――貫き通された半世紀超の純愛
危険な匂いを漂わせる銀幕のイメージとは裏腹に、私生活における藤竜也の横顔は、驚くほど誠実で純度の高い愛に満ちている。その象徴が、昭和の日本映画界を代表する清純派トップスター・芦川いづみとの結婚だ。
可憐な美貌で絶大な人気を誇った芦川と、当時まだ気鋭のアウトロー俳優だった藤の結びつきは、1968年の電撃婚当時、世間を大いに驚かせた。結婚と同時に芦川は一切の未練を残さず芸能界を完全引退。藤は愛する妻のプライバシーを守り抜き、家庭を何よりも優先する姿勢を崩さなかった。
半世紀以上にわたるふたりの結婚生活に、浮いた噂は一度としてない。どれほど過酷なロケがあっても妻の手料理を愛し、互いを慈しみ合う夫婦の絆。劇中で見せる無軌道な危険性と、愛する女性に生涯を捧げるストイシズム。この凄まじいギャップこそが、藤竜也という人間の底知れない魅力を形作っている。
『龍三と七人の子分たち』から日本アカデミー賞へ――色気が「渋み」へ昇華した軌跡
若い頃の鮮烈な輝きに安住することなく、藤は年齢を重ねるごとに演技のグラデーションを深めていった。2015年、北野武監督の映画『龍三と七人の子分たち』で見せた、引退した元組長の滑稽さと哀愁。鋭利な刃物のような色気は、歳月を経て、枯淡のユーモアと重厚な滋味へと見事に変貌を遂げていた。
数々の映画祭で主演男優賞をさらっていくその歩みは、日本アカデミー賞をはじめとする映画賞の常連としてもリスペクトを集め続けている。老いることを恐れず、刻まれた皺の一本一本を表現の武器へと転化する姿勢。かつて新宿の路上で尖りきっていた若者は、いまや日本映画界の背骨を支える巨木となった。
配信プラットフォームで加速する熱狂――U-NEXTやNetflixで観るべき必見作
かつては名画座やビデオカセットを探し回らなければ出会えなかった藤竜也の初期傑作群が、いま手元のスマートフォンやリビングのモニターで鮮やかに蘇っている。U-NEXTやNetflixといったストリーミングサービスの充実は、過去の名作へのアクセスを劇的に変えた。
特にU-NEXTでは、日活黄金期のニューアクション作品が充実したラインナップで配信されており、『野良猫ロック』シリーズにおける藤のキレ味鋭いアクションと圧倒的なビジュアルを余すところなく堪能できる。一方、国内外のアートフィルムを網羅するNetflixなどでも、世界的な古典となった出演作が定期的にキュレーションされている。
デジタルリマスターされた鮮明な映像の中で、煙草を燻らす若き日の藤竜也。その眼差しは、時代も世代も軽々と飛び越え、今日も新たな観客の心を射抜いている。スクリーンの伝説は、決して色褪せない。 (出典: 藤 竜也 若い 頃(Yahoo!ニュース))